敦化門
これは昌徳宮(チャンドックン)の正門で、「敦化門(トンファムン)」と呼ばれる門です。
敦化門(トンファムン)は、王が出入りする時や、国家の重要な行事が行われるときのみ使用される象徴的な門でした。
三つの門のうち、中央の門は王だけが通ることができ、高位官吏たちは左右にある門を利用して出入りしました。
敦化(ドンファ)とは、「王が徳を施して国民を感化する」という意味で、罰を与えることより、礼儀と道徳を尊んだ朝鮮王の思いが込められています。
敦化門(トンファムン)は、月台(ウォルデ)という石を積み上げた高い台の上に建っています。
車が通る道路の方に少し降りてくると、月台(ウォルデ)の前に、王が輿に乗るとき踏み台にしていた2つの石があります。
そして、中央には「御道(オド)」と呼ばれる王が通った道が長く伸びています。
敦化門(トンファムン)を護る軍人たちは、門の両脇に立って警備をしていました。
それから2階にも立って、下を通る人たちを見下ろしていたそうです。
門が完成した直後の1413年に、9000kgの銅の鐘を2階にかけました。
そして、夜明けと夕刻に鐘を鳴らしておごそかに時間を知らせたそうです。
一時期は、厳鼓(オムゴ)と呼ばれる大きな太鼓もあったそうです。
王が出入りするとき、その太鼓を鳴らして官吏たちに知らせ、王を迎える準備をしていたのです。
敦化門(トンファムン)の左右にある塀に、金虎門(クムホムン)と丹鳳門(タンボンムン)という小さな門があります。
敦化門(トンファムン)は、国家の重要な行事が行われる時だけ使用していたので、
普段は、臣下や軍人たちはこの小さな門から出入りしました。
門を使用するのにも決まりがありました。
門の開閉は定刻にだけ行いました。
しかし、必ず出入りしなければならない時は開閉時間を変更しました。
また宮廷を出入りする時は宮廷で発行する門鑑を必ず持って出入りしました。
敦化門(トンファムン)の中庭には八本の槐(えんじゅ)の木がありますが、見えますか?
韓国では、学術的な価値、あるいは美的な価値の高い生物を天然記念物に指定して保護していますが、この八本の槐(えんじゅ)の木も天然記念物です。
昔から韓国の宮廷や儒学者の家には槐(えんじゅ)の木を植えました。
槐(えんじゅ)の木は、国を治める最高の官吏を意味し、高く広く伸びる枝が幅広い学問の世界を象徴することから、学者の木(scholar tree)とも呼ばれていました。